オーロラの歌





震える足を動かして、何度もため息をつきながら廊下を歩く。


明日、椎本くんにちゃんと謝ろう。


前世と現世を重ねるなんて、どうかしていた。


反省しなくちゃ。



生徒玄関に、椎本くんの姿は既になかった。


私の足音だけが、響く。


下駄箱で靴を履き替えようとしたら、私の靴箱の中に二つに折られた白い紙が入っていた。


ラブレター……ではなさそうだ。


警戒しながら、白い紙を手にして、中を見てみた。


何が書いてあるんだろう。



「『六月一日の放課後、プールで待つ。仲間に他言は無用。一人で来い。 イービルより』……って、え?イービル!?」



思わず、口に出して読んでしまった。


繰り返し読んでみても、機械的な文字で綴られた文章は同じ。


六月一日って、一週間もないじゃん。


しかも、よりにもよって、保健委員の当番がある水曜日だ。



イービルからの挑戦状、受けて立とうじゃないか。


うねる運命に、信念を乗せて。


涙色の魂が、夕焼けに意志を灯していた。



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