オーロラの歌
意味わかんねぇ。
めまぐるしく巡る感情は、捨てたつもりだった。
感情だけじゃない。
仲間も、絆も、思い出も、想いも。
全部、不必要だ。
俺が遠ざけようとしても、小倉は懲りずに距離を詰めてくる。
本物のバカだ、あいつは。
さっさと俺を嫌いになれよ。
「……いや」
ため息混じりに、呟く。
「バカは、俺の方か」
帰宅して、「ただいま」も「おかえり」もなく、自分の部屋に一直線に移動する。
家には、俺以外誰もいない。
この静けさには、もう慣れた。
堅苦しい制服を脱いで、キッチンで夕飯を作る。
今日も父さんが仕事で遅いから、俺一人で食事だ。