オーロラの歌
母さんの浮気は、どこで漏れたのか、近所に知れ渡ってしまった。
『ほら、あの子よ』
『親が浮気したんですって』
『可哀想ね』
白い目で見られ、胸糞悪かった。
コソコソ話しているのが、気に食わなかった。
俺は、頑丈で冷たい壁を作った。
俺を卑しめたり、同情したりする周りの視線をシャットアウトした。
そうしたら、自分自身を取り囲む世界が、出来上がった。
第三者が一切侵入してこない、絶対的孤高な世界。
そこは、俺だけの安全な領域となった。
父さんは忙しい人で。
あまり俺に構う時間も、家に居る時間もなかった。
だからだろうか。
一人で、何でもこなすようになったのは。