オーロラの歌



私の歌は、ただの歌ではない。



私の歌を聴くと
負っていた傷が治ってしまうくらい、治癒能力に優れていて。


相手の暗い心を明るく変えられるくらい、太陽のような光のエネルギーがあって。

そのエネルギーには、闇や悪や霊を払う力がある。


そんな、不思議な歌。



――通称、“いやしの歌”。




私はこの能力をお母さんから受け継いだ。


お母さんは去年、私が17歳になる一週間前に、亡くなった。

死ぬ間際、お母さんは言った。




『その能力は、誰かを救うために使いなさい』




私は、お母さんの言葉を胸に、今を生きている。



あの遠い空の向こうで、お母さんは私を見守ってくれているのかな。


……ねぇ、お母さん。

私はちゃんとこの歌に、優しさを紡げているかな……?


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