オーロラの歌



けれど、ラジとしての記憶が流れ込んで、仲間の温もりを不本意ながら知って。


初めて、誰かのために何かしたいと思った。



『一緒に闘おう、って言ってるの』



小倉にそう言われて、心臓が張り裂けそうだった。


……その時、気づいてしまった。


俺は、「一緒に」という言葉が欲しかったんだ。


本当は、独りではなく、誰かと共に生きていく強さを、望んでいたんだ。



自分自身の望みに気づいたと同時に、脳裏を過ぎった、葬り去りたい過去。


忌まわしき幼い記憶が、孤独な世界から一歩踏み出そうとする俺にストップをかけていた。



『私が危ない目に遭っていると、いつも助けてくれるよね』



独りになりたいのに、小倉はそうさせてはくれない。


俺は、多分、怖がっているのだろう。



『それって、もう、一緒に闘ってるも同然なんじゃないかな?』



また心に傷を負いたくなくて、迷うことなく孤独を選択した。


だけど、なぜだろう。


前世と、オーロラである小倉と出会ってから、独りの方が苦しくて仕方ない。



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