オーロラの歌



自分の部屋で、ラッピングをした。


甘いものが苦手な人でも大丈夫なように、甘さ控えめにしたクッキーを、シンプルな透明のラッピング袋に入れて。


オーロラの髪色と同じエメラルドグリーンのリボンでキュッと結ぶ。



どうか、笑顔で「美味しい」と言ってくれますように。


どうか、私の感謝の気持ちが伝わりますように。



魔法をかけなくても、想いを込めれば届くはずだ。


そう、信じてる。





翌日。


校舎に入ると、江藤先輩とばったり会った。



「おはよっ、琉美ちゃん」


「江藤先輩、おはよう」



私は挨拶をして、カバンからクッキーを取り出した。



「あの、これ、よかったら」


「えっ!?」



緊張しながら、江藤先輩にクッキーを渡す。


助けてくれたお礼だと言うと、江藤先輩は無邪気に笑った。



「ありがとう!すごく嬉しいよ」




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