オーロラの歌
嬉しそうな江藤先輩に、思わず表情がほころびた。
頭を下げて、改めてお礼を言った私に、江藤先輩は温かな眼差しを向ける。
「クッキーは嬉しいけど」
……けど?
言葉の続きが気になって、顔を上げた。
「俺にとって、琉美ちゃんを助けるのは役目のようなもので、当然のことをしただけなんだよ」
私の頬にふわり、と江藤先輩のごつごつした手が触れた。
鼓動がうるさくなって。
くすぐったさに、顔を赤らめる。
「だから、今度からはわざわざお礼を言ったり、こんなプレゼントをしたりしなくてもいいよ」
迷惑がっているわけではなく、本当に私を大事に思っている江藤先輩の気持ちが、手のひらから伝わってきた。
江藤先輩は、シエルのように私を守護しようとしているんだ。
私も、仲間をちゃんと支えられているだろうか。
仲間に支えられてばかりな気がして、江藤先輩の体温が胸に沁みた。