オーロラの歌






江藤先輩と別れ、生徒玄関から教室に移動する。


教室内には、既に佳那がいた。



「佳那、おはよう」


「おっはよー!」



朝からテンションが高い佳那に、サプライズでクッキーを渡した。



「あ、あたしにもくれるの?」


「うん!いつもありがとうね、佳那。これからもよろしく」


「うわーん、嬉しいよ~!」



佳那はクッキーを受け取る前に、私に抱きついた。


感動したくらい、喜んでくれてよかった。



「渡したい人には渡せたの?」


「あと二人」


「えっ、一人じゃなかったの?」


「実は佳那も含めて、四人いました。あはは」


「あははって……。あたしはてっきり、江藤駿先輩だけに渡すのかと思ってたよ」



なんで、佳那は江藤先輩だけだと思ったんだろう。


もしかして、昨日の『大事な人』発言を、恋愛絡みに捉えてるとか?


……ありえる。



「あ、あのさ、言っておくけど、江藤先輩と付き合ってないからね?」


「知ってる知ってる。彼氏よりも大事なんでしょ?それに、琉美には好きな人がいるもんね」




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