オーロラの歌
私に、好きな人?
なに?どういうこと??
「……え、ま、まさか、まだ気づいてないの?」
ぽかーんとする私に、佳那はため息をついた。
江藤先輩との関係は誤解してなくて安心したけど、違う誤解をしていたなんて。
「私、好きな人いないよ?」
「あー、はいはい。そういうことにしておこう」
佳那の呆れた態度にムカついて、頬を膨らます。
私の膨らんだ頬を、佳那の指先につつかれた。
「琉美が恋に気がつくのは、いつになるのかな」
佳那が呟いた声はあまりにも小さすぎて、拾えなかった。
朝、椎本くんにクッキーをあげようと思っていた。
けれど、椎本くんは朝のHR開始のチャイムが鳴る寸前に、教室に入ってきた。
やむを得ず予定を変更して、昼休みに椎本くんと利一くんにクッキーを渡しに行くことにした。