オーロラの歌



このロープだけで決め付けるのは、おかしいのかもしれない。


でも、どうしてもリンクさせてしまう。


ムチを自在に扱っていた、彼と。



「……ゼロさん、なの?」



弱々しく問いかけると、一瞬だけロープを引き寄せる動きが止まった。


それは肯定だと、思ってもいい?


オーロラの死に際、ゼロさんの洗脳はこっちの世界に運ばれ、あっちの世界では催眠魔法は若干取り除かれていた。


やっぱり、ゼロさんも転生して、私の近くにいたんだね。



「ゼロさん、姿を見せて」



会いたいよ。


洗脳されていても、今は敵同士だとしても。


現世の姿で、会いたい。



「ねぇ、ゼロさん!」



返事は、なかった。


静まり返る廊下にいる敵は、再び私を引きずって、扉側に誘う。


私はグッと踏ん張って、ロープの力に逆らう。



「シルバー・レイ!」



怜司くんは呪文を唱え、人差し指の先端から発射された光の弾丸で、無理やりロープを切り落とした。



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