オーロラの歌



怜司くんのおかげで、拘束を解かれた腕。


ロープは扉の奥に引き戻され、また空き教室に滑り込む。


巧みに駆使されたロープは、怜司くんに狙いを変えた。


まずは仲間から抹殺しようとしてるんだ。


怜司くんは予想していたように、不敵に笑う。



「スペクトル・プリズム」



初めて聞く、魔法だった。


直後、光と霧が出現した。


光がぼんやりと灯り出し、霧が空き教室を覆っていった。


その間もロープは目にも止まらぬ速さで、怜司くんに襲いかかる。



「椎本くんっ!!」



私が声をかけても、怜司くんは何も応えない。


そして、ロープが怜司くんを捕らえた。


……と、私も敵も思ったが、ロープは怜司くんをすり抜けた。



「俺はこっちだぜ?」



いつの間に移動したのか、私の近くにいたはずの怜司くんは、空き教室の隅に立っていた。


どうなっているの?



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