オーロラの歌
敵の……ゼロさんの現世の姿を一目見たかったな。
「琉美」
大げさに肩を落とした私を、怜司くんが呼んだ。
振り返ると、怜司くんがすぐ後ろにいた。
「なっ、なに?」
近すぎて、声が裏返る。
「手ぇ見せろ」
「え、あ、ちょ!」
怜司くんは強引に、私の手のひらを見た。
私の手は、手にできたまめが潰れていたり、皮がむけていたりしていた。
こんなに傷だらけになってたんだ。
「……痛むか?」
私の汚くて醜い手に触れる怜司くんの手が、とても優しくて。
言葉を失った私は、首を横に振った。
「嘘つけ」
そんな私に、怜司くんは苦しげに目を細める。