オーロラの歌
怜司くんの指が、傷の部分をなぞった。
本当に、手は痛くないよ。
でもね、心がひどく痛むの。
怜司くんは私を助けてくれたのに。
最後は、怜司くんがカッターを持っていたからなんとかなったけど。
私は怜司くんを助けられなかった。
不甲斐なくて、ごめんね。
「守ってやれなくて、ごめんな」
怜司くん、謝らないで。
辛そうにしないで。
怜司くんは、守ってくれたよ。
今、とてつもなく、“あいのうた”を歌いたい。
私と同じように心を痛めてる怜司くんを、たとえ一時的なものだとしても、光で包んであげたい。
私が歌おうとした時、怜司くんは横目にある物を捉えた。
「これ……」
ある物を手にとった怜司くんに、私は思わず口を閉ざした。