オーロラの歌
校舎を出て、夕焼けが照らす帰り道を一人きりで歩く。
私も怜司くんも、体中に敵につけられた傷がある。
今日お風呂に浸かれば、ヒリヒリ痛むだろうな。
特にひどいのは、私の手。
絆創膏だらけの手を、ぼんやりと見つめた。
敵が去った後で教室に戻ったら、佳那に何があったのか尋問された。
なんでもないってごまかしたけど。
心配かけちゃったなぁ。
「このままじゃ、ダメだ」
やっぱり、護身用に何か持っていよう。
でも、何を?
ナイフとかハサミとかは、危険だし。
弓道部から弓を借りることも不可能だろうし。
そもそも、弓なんて使えないし。
身を守れるような物、か……。
適した物が、思いつかない。