オーロラの歌
怜司くんがカッターなら、私は他の物がいいよね。
刃物系じゃなくて、攻撃できて、運動が苦手な私でも扱えそうな物。
そんな物が、都合よくあるかな?
悩んでいたら、あっという間に家に着いた。
玄関の扉を開けると、お兄ちゃんが出迎えてくれた。
「おっかえり、琉美ー!」
「ただいま」
ハイテンションなお兄ちゃんと通常運転な私の温度差に、リビングから顔を出していたお母さんが呆れていた。
……ん?お兄ちゃん?
「あ!!」
ひらめいてしまった。
私って、天才かも。
「い、いきなりどうした?」
お兄ちゃんが、突然声を上げた私を不思議に思いながら、そう聞いてきた。
「ねぇ、お兄ちゃん!お願いがあるの」
「可愛い妹の頼みなら、なんでも聞いてやるぞ。さあ、言ってみろ」
真剣な私とは正反対に、お兄ちゃんはだらしのない笑顔を浮かべた。