オーロラの歌
保健室内には保健医がいなくて、『職員室にいる』と綴られた紙が、机の上に置いてあったのを見つけた。
「大丈夫ですけど、日直か何かですか?」
「プールに用事があって」
「水泳部なら、今日お休みですよ?」
利一くんの情報に、心の中で納得した。
今日は水泳部がオフだから、指定した場所がプールだったんだ。
他の場所だと、誰かがいるかもしれない。
そうなったら、他人の目が気になって思うように闘えないもんね。
「待ち合わせをしてるんだ」
「待ち合わせ?竹刀を持って、ですか?」
「そう、ちょっと危険な待ち合わせなの」
イービルと一対一の対決をする状況になった時のために、竹刀を持っていく。
無防備な格好で行くもんか。
利一くんは、「危険」という単語を聞いて不安になったのか、心配そうな視線を私に向ける。
「ねぇ、利一くん」
「はい?」
「もし、プールで何か危なげなことが起こっていそうだったら、すぐに誰かに連絡してくれない?」
イービルからの手紙には、『六月一日の放課後、プールで待つ。仲間に他言は無用。一人で来い。 イービルより』と書いてあった。
つまり、前世の仲間でなければ、ルール違反にはならない。