オーロラの歌
それに、利一くんの手も借りようとしてる。
責任感や不安を、共有し合っている。
私は、ちゃんとわかってる。
自分が独りではないことを。
周りには、皆がいることを。
「わ、かり、ました」
利一くんは考え込んだ後、たどたどしく頷いた。
きっと利一くんは、私を行かせたくはないけど、私の意思を尊重してくれたんだ。
強情でごめんね。
「利一くん、ありがとう」
そして、私は保健室をあとにした。
渡り廊下を歩いて、プールへ向かう。
ポツポツと、通り雨が降ってきた。
雨音と足音が混ざって、濁っていく。
プールに近づく度、竹刀が重く感じるのはなぜだろう。