オーロラの歌
心臓が、忙しなく動く。
黒縁メガネが、キラリと反射して光った。
私の目は、だんだんと見開かれていった。
「どうしてここに、せっちゃんがいるの?」
混乱して、頭が痛い。
震えた足で立ち上がり、せっちゃんを警戒するように距離を取った。
長いようで短い沈黙を破ったのは、意外にも、声ではなかった。
せっちゃんの片腕が持ち上がり、私は息を呑みながら竹刀を構えようとした。
しかし、気が動転していた私から竹刀を取り上げるのは、容易いことで。
せっちゃんに、竹刀を遠くに投げ飛ばされた。
竹刀が床に落ちた音が、プール内に響き渡る。
「せっちゃんが、イービルなの?」
そうとしか、考えられない。
動揺のせいで、情けない表情になる。