オーロラの歌
せっちゃんは何も言わずに、鋭い視線を私に浴びせた。
せっちゃんを怖がるのは、いつぶりだろう。
……あ、そうだ。小学生以来だ。
以前、帰り道でせっちゃんが『関係ないって思っていても、そいつも関係あるのかもしれねぇぞ』と言った。
その時、せっちゃんらしくないと思っていたけれど、あまり気にしなかった。
だって、せっちゃんが敵で、対峙する関係で、私を殺したがってるなんて、想像すらしていなかったんだ。
せっちゃんはいつだって、私のそばにいてくれて。
私を励ましてくれる、第二のお兄ちゃんのようで。
そんなせっちゃんが、因縁の相手だって、信じられるはずがない。
「なんとか言ってよ、せっちゃん!!」
反響する、私の叫び。
現実逃避したくても、させてくれない。
残酷に、狂おしく、壊されていく。
私の、大切な居場所を。