オーロラの歌
やっぱり、せっちゃんは黙ったままで。
悲しみが詰まった涙が、目尻に溜まる。
せっちゃんが一歩近づいてきて、私は竹刀を取りに行こうと駆け出した。
信じたくない。
けど、これが、現実。
途中で足を滑らしてしまい、転びそうになる。
慌てて、床に手をついて、転ぶのを防いだ。
だが、せっちゃんが私のすぐ目の前に来ていて。
――トン。
ひどく軽やかに、私を押した。
外圧に耐えきれず、身体が水の中に落ちていく。
スローモーションのように感じながら、視界の端にせっちゃんを捉えた。
せっちゃんは、静かに私を見下ろしていた。
せっちゃん、どうして?
どうして、何も言ってくれないの?
せめて、声を聞かせてよ。