オーロラの歌
『なんで、琉美ちゃんに正体を明かさなかった?』
江藤先輩の問いかけで、確信する。
この人も僕と一緒なんだ、と。
江藤先輩は前世では誰だったんだろう。
『……突然のことに、頭がついていかなくて』
『ふぅん。俺は、機会が来れば言うつもりだぜ?』
江藤先輩はベットから下りて、僕の横を通り過ぎた。
『久賀さ、早く決めろよ?』
『何をですか?』
『琉美ちゃんの仲間になるのか、無関係を装うのか』
その二択は僕にとって、明白で。
それでいて、難しかった。
扉を開けようとした江藤先輩を、
『あ、あの!』
僕は、緊張を抑えて呼び止めた。
振り向く江藤先輩に、尋ねる。
『江藤先輩、あなたは誰なんですか?』
『あぁ、そういえば言ってなかったな』