オーロラの歌
江藤先輩の端麗な横顔が、どこか彼に似ていた。
銀の糸を集めたような髪の、彼に。
『俺は、シエル。オーロラの守護精だった、シエルだ』
プールの出入り口で、誰かとすれ違ったが、足を止めずに琉美先輩のところへ向かった。
プールサイドまでやってきて、急いで靴と靴下とカーディガンを脱いだ。
水中に、息をこらえている琉美先輩を見つけた。
琉美先輩、遅くなってごめんなさい。
今、助けます。
水面に浮かぶ光はきっと、道筋を照らす目印だ。
僕は大きく息を吸って、水中に飛び込んだ。
琉美先輩が伸ばしている手を、爪が当たらないように慎重に、けれど強く握る。
グイッと引っ張って、抱きしめた。
そのまま琉美先輩を連れて、魚のように泳いで、水面から顔を出し、プールサイドを目指した。