オーロラの歌
プールサイドに上がって、琉美先輩を横にさせる。
「ゴホッ、ゴホッ」
琉美先輩は、水を吐き出しながら咳をした。
生きていてホッとした。
「琉美先輩、琉美先輩っ」
「……利一、くん?」
「はい。無事でよかったです」
「また利一くんに、助けられちゃったなぁ」
琉美先輩は弱った体を起こし、僕の手に触れた。
毒牙は尖ったままだから危ないですよ、と伝えようとした僕に、琉美先輩は柔らかく微笑んだ。
甘く苦しく、胸が高鳴る。
「利一くんが、グリンだったんだね」
どうしようもなく、泣きそうになった。
僕の手に重なった琉美先輩の手が、あまりにも温かくて。
「ずっと言えなくて、すみませんでした」
「謝らないで。グリンに会えて、すごく嬉しいよ」