オーロラの歌
こんなことになるなら、護衛しとくんだった。
自分の落ち度に深く落ち込んでいると、隣からくしゃみが聞こえた。
「そのままじゃ風邪引くぞ?」
「で、でも……」
体を震わせて鼻水を垂らしている久賀は、風邪を引こうとも琉美ちゃんが起きるまでそばにいたいようだった。
前世の記憶がそうさせているのだろうか。
俺は困ったように、目尻をくしゃりとさせた。
「いいから、体操着にでも着替えてこい」
久賀の背中を、グイグイ押す。
「琉美ちゃんが目覚めた時、元気な姿で会いたいだろ?」
俺の言葉に、久賀は素直に頷いた。
久賀が着替えるために保健室を出て、俺と琉美ちゃんの二人きりになる。
静寂が、茜色に染まっていた。
再びベットの脇の椅子に腰掛け、琉美ちゃんの苦しそうな寝顔を見つめる。
「君は前世から、無茶ばかりするよな」
くぐもった声で呟きながら、琉美ちゃんの前髪をさらりと撫でた。