オーロラの歌
――ガラッ!
突然、扉が破裂音に近い音を立てながら開いた。
息を荒くして保健室にやって来たのは、保健医でも久賀でもなく、黒髪の男子だった。
この前俺に意味ありげな質問をしてきた奴、だよな?
何しに……って、そんなの決まってるか。
「琉美は……!?」
黒髪の男子は息を整えずに、冷静さを失った声色で俺に尋ねた。
「大丈夫、無事だよ」
俺はベットで寝ている琉美ちゃんを示しながら、温厚な表情を浮かべる。
大きく胸を撫で下ろした黒髪の男子は、俺と琉美ちゃんに近寄った。
「琉美ちゃんが保健室にいるって、誰に聞いた?」
「保健医と担任が話してるのを偶然聞いたんです」
黒髪の男子の、琉美ちゃんを見つめる瞳が、愛おしそうで儚そうで。
たったそれだけのことで、こいつの正体を見抜いてしまった。
オーロラや琉美ちゃん関連だと勘づくのが獣並みになって、我ながら恐ろしい。