オーロラの歌
この前の琉美ちゃんとこいつの行動からして、二人はお互いの前世を知っているのだろう。
他に仲間がいてよかったと思う反面、独占欲と嫉妬心が暴れまわる。
「そういえば、自己紹介をしてなかったな」
シリアスな空気を崩す、ノリの軽い発言に、黒髪の男子は「は?」と言いたげにしかめっ面になった。
「久し振り、ラジ」
「え?」
「こっちでは、直接話すのは二度目だよな?」
「え、あ、あの……」
当惑する黒髪の男子をよそに、俺は握手を求めるように手を差し出した。
てっきり琉美ちゃんから聞いてると思っていたが、どうやらこいつは俺の正体に気づいていなかったらしい。
「俺の名前は江藤駿」
「俺は椎本怜司、です」
黒髪の男子……椎本は、訝しそうに俺と握手した。
うわあ、思いっきり不審がられてる。
ショック。
「江藤先輩は、誰、なんすか?」
単刀直入に聞いてきた椎本に、ニッと笑みを向けた。
握手する力を強める。