オーロラの歌
「誰だと思う?」
「……」
冗談半分に聞き返すと、椎本は面倒くさそうに表情筋をだらけさせた。
露骨に嫌そうにすんなよな。
ラジに似てるんだか似てないんだか、わっかんねぇ奴だな。
「シエルだよ」
俺は手を離しながら、ため息混じりに言った。
椎本の眼が、大きく開かれていく。
「まじっすか?」
「まじっす」
椎本も久賀も、わかりやすいったらない。
椎本が今思ってることを当てるなんて、楽勝だ。
恋敵、現る!!
……だろ?
さすがに聞かないけど、多分正解。
それほど、単純なんだ。