オーロラの歌



すると、体操着に着替えた久賀が、保健室に帰ってきた。



「あの、只今戻りました」



久賀より先に出て行った保健医は、どこをほっつき歩いてるんだか。


おじいちゃん先生だから、歩くスピードが遅いのか?それとも、迷ってるとか?



「まだ頭濡れてんじゃん。ちょっとこっち来い」



男にしては小さい久賀を、強引に椅子に座らせて。


たまたま持っていた大きめのタオル(未使用)で、久賀の水分をたっぷり含んだ髪を拭いてあげた。


こんなことしちまうから、周りに世話焼きって言われるんだろうな。



「江藤先輩」


「ん?」


「こちらの方は……?」



久賀の髪が大分乾いた頃、久賀はずっと気になっていたのか、椎本を視線でなぞった。


二人は初対面なのか?



「俺達の仲間さ」



一言そう答えれば、久賀は全てを理解し、拳を握り締めた。



「は、初めまして。僕、一年の久賀利一っていいます」




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