オーロラの歌
まさか知り合いだったとは思わなかった。
タイプの違う二人だし。
「実は、プールで会ったのがせっちゃんなんです」
私が真実を告白すると、江藤先輩は愕然とした。
江藤先輩が前のめりになって、口を開く。
「どうして、あの時言わなかったんだ!!」
「ご、ごめんなさい。うっかり忘れてて……」
生徒玄関に、江藤先輩の大声が響き渡る。
水曜日に話そうと思っていたけど、熱が出てそれどころじゃなくなっちゃって、話すのが遅くなってしまった。
「六沢が、イービルだったなんて」
「確定するのは、まだ早いよ」
「でも、そう考えるのが普通だろ?」
確かに、プールにやって来たのはせっちゃんだ。
私も、せっちゃんがイービルという線が一番適当なんだと思う。
けれど、心のどこかで、妙な引っかかりを感じている。
うまく例えられないモヤモヤが、くすぶっている。