オーロラの歌
慌てるな、自分。
肝心なのは、イービルの現世。
せっちゃんがゼロさんだとしたら、黒幕であるイービルは誰?
「“テレパス、オン”」
いきなり、せっちゃんが呪文を唱えた。
もしかして、生徒玄関で呟いていたのは、テレパスの魔法だったの?
ということは、せっちゃんはさっきイービルに連絡をとって。
イービルはせっちゃんに、私達をかく乱させろと命じたんだ。
せっちゃんは呪文は私達に聞こえるように言ったが、テレパスを通して話している声はボソボソと小さかった。
催眠魔法をかけられているせいで、イービルの忠実な部下にされているせっちゃんは、私達を混乱させようと、わざとイービル相手にテレパスをしているとわからせたんだ。
「……正体は秘密らしい」
テレパスが終えたせっちゃんが言った返事に、私はあからさまに顔を歪めた。
秘密ってなんだよ!
もう言っちゃえよ!
私達に正体を知られていないのは、あとはイービルだけなのに!!