オーロラの歌
イービルの転生した姿は、とっておきのシークレットってわけか。
それほど、イービルは私達に正体をバラされたくないんだ。
まあ、当たり前か。
正体がわかっているのといないのとじゃ、殺すリスクが大幅に違う。
これ以上何も教えることがないというのなら、私にだって考えがある。
「江藤先輩、いいよね?能力を使っても」
「……あぁ、催眠魔法を解除するにはそれしかねぇもんな」
イービルに囚えられた、私の味方を奪い返す。
元のゼロさんに、元のせっちゃんに、戻したい。
どれだけ深い洗脳だって、私が壊してやる。
「せっちゃん、待ってて。今、助けるから!」
私は、空気を肺いっぱいに吸い込んだ。
イービル、返してもらうよ。
私の、大切な人を。
せっちゃんを縛り付けている鎖をぶった切るように、催眠魔法を砕いて。
本当の心を目醒めさせよう。