オーロラの歌
完璧に舗装された洗脳の中、イービルに反対できるわけがなく。
冷淡に『はい』と答えてしまう自分を、きつく責めた。
『オーロラ達にバレない程度に、うまくやりなさいよ?』
“誰か”の声に含まれた期待が、俺を突き刺す。
ゼロは生まれた時からよく、この重圧に耐えてきたな。
すげぇよ。
俺には、絶対無理だ。
たった一度会っただけなのに、もう心が折れかけてる。
ゼロは、お父様……ジャックの無効化の魔法を支えに、オーロラを守りたいと頑張って生きていた。
それなら、俺は?
俺は、何を支えに過ごせばいいんだろう。
『ねぇ、せっちゃん』
翌日の放課後。
帰り道で偶然会った琉美と、一緒に帰っていた。
本当は、琉美の近くにいたくなかった。
俺がイービル側の人間だと、知られたくなくて。