オーロラの歌





熱い日差しと蝉の啼き声が、この季節を際立たせる。


俺は母さんに連れられて、琉美……るんちゃんの家に遊びに来ていた。


俺の母さんとるんちゃんの母親がリビングで世間話をしている間、俺は暇なので退屈しのぎにるんちゃんの部屋に行った。



『あ、せっちゃんだー!』



ノックもなしに入ると、ベットから体を起こしたるんちゃんが、嬉しそうに笑った。


俺とるんちゃんは、赤ん坊の時から一緒で。


るんちゃんのことは、なんでも知っていた。



『今まで寝てたのかよ』


『起きてたよ!横になってただけ!』


『嘘つけ。本当は、寝坊助のくせに』


『違うってば!!』



……そう、俺は、るんちゃんのことを誰よりも知っていたんだ。


だから、るんちゃんが嘘をついていないのも、わかっていた。


でも、俺は昔から素直になるのが苦手で、いつもつい反対の言葉を言ってしまう。


しかも、感情が顔に出にくいため、嘘を嘘だと思われず、誰も俺の本音に気づいてはくれなかった。



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