オーロラの歌
家に飾ってある、ふたつの写真。
ひとつには、私とお母さんの写真。
もうひとつには、この国の女王である、“イービル”様の写真が。
どうしてこの家に女王様の写真があるのかわからない。
お母さんはよくこの写真を見て、切なそうにしていたのを憶えてる。
ガサリ、と、ふと窓の外から足音がした。
草と土を踏む音。
この森に人が来ることはめったにない。
誰……!?
思わず身構える私を守るように、シエルが私の前に立つ。
いつだって彼は、危険を察知したとき、私を守る盾になってくれる。
シエルの優しさに頼ってばかりだ。
「お前が、オーロラか?」