オーロラの歌



もちろん、るんちゃんも例外ではなく。


俺の癖を、るんちゃんはまだ知らない。



『そんなに寝てても、ちびなままなんだな』


『私、ちびじゃないもんっ』


『俺よりちっちぇーじゃねぇか』



だから俺が悪態をつくと、るんちゃんはムキになって、毎回口喧嘩が勃発するんだ。


本当は喧嘩なんてしたくないけれど、本心を伝えられなくて。


代わりに口から吐き出されるのは、悪口ばかり。



『これから大きくなって、せっちゃんを見下ろしてやる!!』


『ハッ、んなのできるわけねぇじゃん』


『できる!』


『できねぇよ!』



部屋に、暑苦しさが増していく。


るんちゃんがあまりにも粘り強くて、俺はカッとなって声を荒げた。



『それよりまず、俺みたいに“普通”になれよ!!』



それは、るんちゃんに言ってはならないタブーだった。



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