オーロラの歌
隣から『ふふっ』と笑った声を耳で捉えて、振り向けば。
すぐ隣で、るんちゃんが俺の顔を覗き込んでいた。
『幻……?』
『本物だよ』
『なっ、なに勝手に入ってきてんだよ!!』
あぁ、ほら。
本物相手だと、素直になれない。
『ちゃんとノックしたよ?』
『返事してねぇよ!』
『“るんちゃん”って聞こえたから、入ったの』
るんちゃんは、上機嫌にニコニコしている。
その姿が眩しすぎて、目をそらした。
『私ね、ずっとせっちゃんって怖い人だと思ってた』
『……っ』
知ってるよ。
だって、俺、るんちゃんにひどいこと言って、怒らせてばっかだったし。
『でも、違った』