オーロラの歌



生まれる前から関係を成していたと思ってしまうほど、私を取り囲むこの世界は出来すぎていた。


完成度の高い世界で、引力に魅せられた者達が争う光景を、誰が望んだのだろうか。



沈黙に包まれた美術室に、絵筆が床に落ちた、空虚な音が響いた。


真っ青な空が、なぜか痛々しく見えて。


“彼女”の笑顔を思い出し、顔を引き締めた。



「本題は、ここからだよ」



窮屈で苦味のある感情を抑え、ワントーンだけ下がった声でこの場を仕切る。



「私、明日“彼女”と闘いたい」



もう一秒だって待てない。


時間が惜しくて、いてもたってもいられない。



「長い時間を費やして作戦を考えても、その間に誰かが傷つけられて、イービルの殺意が増していくだけ」



本当は今日がいいけど、各自、物事を整理したり準備したりする時間が必要だ。


作戦なんて無くていい。


仲間がいてくれさえすれば。



「だから、明日、全部終わらせたいの」



傷を負う回数を、少なくしてあげたい。


運命を、修正したい。



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