オーロラの歌






翌日の朝、“彼女”の下駄箱に手紙を入れた。



『放課後、屋上で待つ』



たった一文だけの、以前に“彼女”にもらった手紙を真似た、果たし状。


放課後は誰もいない屋上を、闘いの場に指定した。


オーロラより、とは書かなかった。


“彼女”はまだ、私が騙され続けていると思っているようだから。




そして、緊張と不安が渦を巻く、放課後がやって来た。


私は佳那に「またね」と別れを言って、怜司くんと教室を出る。


屋上に向かう途中で、江藤先輩と利一くんと出会った。


心臓が、今にもはちきれそうだ。


お兄ちゃんの竹刀を担ぎながら、階段を一段一段上っていく。


先に屋上前に着いた江藤先輩が、ギィ、と重い扉を開けた。



「なあ、琉美」



江藤先輩と利一くんが屋上に踏み入れると、後ろにいる怜司くんが声をかけてきた。



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