オーロラの歌
溢れる想いを、君へ
青とオレンジが絶妙に混ざり合う空の下。
風が緩やかに吹いている屋上に、“彼女”はまだ来ておらず、想像通り私達四人しかいなかった。
部活する人、デートする人、カラオケに行く人、勉強をする人。
多様な方向性のある放課後に、決闘をする私達は相当特殊なようだ。
「ちゃんと来てくれるかな?」
“彼女”は差出人不明の手紙を、捨ててしまっているかもしれない。
やっぱり、騙されたことに意地張ってないで、『オーロラより』って書いておけばよかっただろうか。
「来てくれますよ」
「そうだといいけど……」
「約束を破るような人じゃないですから」
不安がっていた私に、利一くんがはっきりと断言する。
利一くんの表情は、どこか引きつっていた。
多分、利一くんも私と同じように、未だに現実を丸ごと受け入れられていないんだ。
竹刀を持つ手が、少し力む。
「ネガティブになっちゃダメだよ、琉美ちゃん」
江藤先輩が、私の頭を撫でてくれた。