オーロラの歌
唯夏ちゃんは、手紙をぐしゃぐしゃに丸めた。
「私達も、できれば早く終わらせたい。だから、白状して」
私は一歩前に出て、刺々しく言う。
闘いを長引かせたくはない。
けれど、数分で片付くとは思っていない。
「ちょ、ちょっと待ってくださいよ。琉美先輩怖いですよ」
「私は、本気だよ」
唯夏ちゃんの胡散臭い反応に、目を鋭くさせる。
こんな茶番、続けないで。
「唯夏ちゃんが、イービルなんでしょう?」
「えっ、イービル?なんのことですか?」
「とぼけんじゃねぇよ!」
怜司くんが唯夏ちゃんに怒鳴り声を浴びせた。
唯夏ちゃんの幼なじみである利一くんは、唯夏ちゃんが屋上に来てからずっと、苦しそうに顔を歪めていた。
「昨日の唯夏ちゃんのミスは、サエちゃんとぶつかってそのままにしてしまったこと」
「あたし、昨日は……」
「あそこでサエちゃんと一緒にプリントを拾っていたら、正体はわからないままだったのに」
唯夏ちゃんの声を遮って言った私は、竹刀の先端を唯夏ちゃんに向けた。