オーロラの歌
しらばっくれないで。
もう、嘘をつかれたくないよ。
「真実を言って、唯夏ちゃん!」
ボロボロと、唯夏ちゃんの表情が崩れていった。
本性を露わにした唯夏ちゃんの雰囲気が、一変して、暗黒色に染まる。
私の知っている唯夏ちゃんがいなくなり、唯夏ちゃんの器を借りたイービルが目の前にいる。
夢や記憶以外で初めて、あっちの世界の住人と会ったというのに、ちっとも喜べない。
「ふふっ」
イービルは嘲笑をこぼしながら、二回手を叩く。
鳥肌が立って、手が震えた。
「ゼロ、こいつらに軽い挨拶をしてやって」
え?ゼロさん……せっちゃんが、ここにいるの!?
驚いている私の足元を、頭上から伸びてきたロープがぶっ叩いた。
瞬時に視線を持ち上げると、給水塔の上に立っているせっちゃんを見つけた。
あんなところにいたなんて、気づかなかった。