オーロラの歌



せっちゃんは給水塔からジャンプして地面に下り立ち、イービルの近くに寄る。



「どうしてここに、せっちゃんがいるの?」


「あたしが一人で来るわけないでしょ。ゼロに見張っておいてもらったのよ。手紙の差出人が誰か、テレパスで教えてもらうためにね」



イービルが遅れてきた理由に、納得した。


手紙を送ったのが私達である場合と、私達ではない場合では、状況が大幅に変わる。


だから、せっちゃんを給水塔に配置させていたんだ。


それに、手紙には『一人で来い』とは書いていない。


ただ、『放課後、屋上で待つ』とだけ。


イービルは、ルール違反していない。



「改めまして、イービルよ。久し振りね、オーロラ」



イービルの口が、弧を描いた。


私は警戒心を強める。



「それで、白状したけど、これからどうするのかしら?」


「今度こそ、あなたを救ってみせる」


「……まだそんなくだらないことを言っているの?」




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