オーロラの歌



イービルの能力は、雷を操るもの。


まさか、私に雷をぶつける気……!?


私は、慌てて歌を中断しようとした。



「琉美先輩、歌い続けていてください!」



しかし、利一くんの言葉に、閉じかけた唇の隙間からか細い歌を紡いだ。


狼に変身した利一くんは、凛々しい目つきで私を射る。



「雷は、僕がなんとかします」


「久賀一人じゃ危ないから、俺も手伝うよ」


「それじゃあ、俺は琉美の援護でもすっか」



利一くんと江藤先輩が雷を担当し、怜司くんが私のフォローをし、私は歌を歌う。


それが、今一番いい形なのなら、私は仲間を信じよう。


私は歌いながら頷き、歌に専念した。


いやしの歌に作用されたせっちゃんが、胸元を抑えて、片膝をつく。



次の瞬間、ピカッと稲妻が走り、いくつもの雷が大きな音と共に落ちてきた。


雷が私に接触しそうでも、私は歌うのをやめない。


仲間への信頼が、多大なパワーになる。



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