オーロラの歌
利一くんはお腹を空気で満たし、乱暴に撃たれた雷に向けて、
「うおおおおぉぉ!!!」
鼓膜が破れるほど、大きく叫んだ。
その雄叫び自体に凄まじい威力があり、突風を発生させながら雷を打ち消した。
「ロック・クレイ」
江藤先輩は呪文を唱え、地面のコンクリートを盾にした。
利一くんが消せなかった残りの雷が、コンクリートの盾に激突する。
雷を消滅させたコンクリートの盾は、完膚無きまで砕け散ってしまった。
「チッ」
攻撃が失敗に終わって舌打ちをしたイービルは、せっちゃんの耳元で催眠魔法をかけた。
歌の効果が、わかりやすく薄れる。
せっちゃんがイービルの近くにいたら、いやしの歌を発動させても、その分イービルに洗脳されてしまう。
「怜司くん、せっちゃんを私の方に引き寄せて」
「了解」
一旦歌を区切った私はそう頼むと、怜司くんが即座に手のひらをせっちゃんの方に突き出した。
「サンクチュアリ・ジャッジ」