オーロラの歌



利一くんはお腹を空気で満たし、乱暴に撃たれた雷に向けて、



「うおおおおぉぉ!!!」



鼓膜が破れるほど、大きく叫んだ。


その雄叫び自体に凄まじい威力があり、突風を発生させながら雷を打ち消した。



「ロック・クレイ」



江藤先輩は呪文を唱え、地面のコンクリートを盾にした。


利一くんが消せなかった残りの雷が、コンクリートの盾に激突する。


雷を消滅させたコンクリートの盾は、完膚無きまで砕け散ってしまった。



「チッ」



攻撃が失敗に終わって舌打ちをしたイービルは、せっちゃんの耳元で催眠魔法をかけた。


歌の効果が、わかりやすく薄れる。


せっちゃんがイービルの近くにいたら、いやしの歌を発動させても、その分イービルに洗脳されてしまう。



「怜司くん、せっちゃんを私の方に引き寄せて」


「了解」



一旦歌を区切った私はそう頼むと、怜司くんが即座に手のひらをせっちゃんの方に突き出した。



「サンクチュアリ・ジャッジ」




< 828 / 888 >

この作品をシェア

pagetop