オーロラの歌
怜司くんの手のひらから飛び出した光の縄が、素早くせっちゃんを縛る。
怜司くんは、光の縄を自分の元に引き戻そうとした。
だが、イービルが光の縄を右手で掴んでいたため、できなかった。
「くっそ。あの女、握力強すぎだろ」
「あんたが、弱すぎるだけよ」
「なんだと!?」
綱引き状態になった二人は、レベルの低い口論を始めてしまった。
怜司くんがイービルの力を一時的にでも勝り、せっちゃんをこちら側に引き寄せることができて、せっちゃんの安全を確保した上で歌いたいのは山々だけれど。
贅沢は言ってられない。
イービルが光の縄を止めようと必死になっている、今しかチャンスはない!
「♪~~奇跡がぶつかり合って 迷子の想いを抱きしめ~~♪」
せっちゃんの心を閉じ込めている檻を、輝きに変えて。
前世で付けられた首輪を、破壊して。
この歌で、せっちゃんを助けたい。
「オーロラは、どれだけあたしに嫌われれば気が済むのかしら」
横目に私を捉えたイービルは、光の縄を掴む力を強めながら、私に呪文を唱えようとした。
「ウィケッド・ナイ……」
「アルディ・ソード!」
イービルが呪文を言い終える前に、江藤先輩が魔法で作ったコンクリートの剣をイービルに投げつけた。