オーロラの歌
喉の奥が苦しくても、心臓を重く感じても。
光を待っている人がいるのなら。
私は、歌い続ける。
これが、私ができる、唯一の守り方。
「う、あ、」
せっちゃんの呻き声が、聞こえる。
私がせっちゃんに贈るのは、エールなんかじゃない。
何よりも強く煌めく、光だ。
「♪~~きっとあと爪先分だけ 踏み出したら出会える~~♪」
「ぐっ、ぅ……」
魔の手から逆らおうとしているせっちゃんに、逃げ道を与えて。
イービルが育てた茨の庭に、鮮やかな色を塗って。
私のいる世界に、帰っておいで。
「……っ、る、……み」
「♪~~世界の彼方で待ってる 眠っていた愛に囁こう~~♪」
不明瞭に淡く、それでいて繊細に、せっちゃんが私の名前を呟いた。