オーロラの歌



涙が、目尻に溜まる。


身体の痛みなんて忘れるくらい、嬉しかった。



「せっちゃん!」



私が呼び返せば、せっちゃんの表情がふわりと柔らかくなった。


あぁ、せっちゃんだ。


私の大切な、せっちゃんだ。


やっと、会えた。


助けるのが遅くなっちゃって、ごめんね。



「あたしのものに、何してくれてんのよ」



イービルが邪気を放出させながら、私を威嚇した。


幸せを、一瞬でかき消されてしまう。



「せっちゃんは、あんたのものじゃない!」


「いいえ、あたしのよ。あたしの、重要な駒」


「せっちゃんを駒呼ばわりしないで!!」



せっちゃんは、心も意思もある人間だよ。


ロボットみたいに扱わないで。



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