オーロラの歌
唯夏ちゃんは息を荒くしながら、ゆっくりと私に手を伸ばした。
「た、す、けて……っ」
咄嗟に、唯夏ちゃんの手を取ろうとした。
けれど、唯夏ちゃんの潤んだ瞳はすぐに曇ってしまった。
「お前は、引っ込んでろ!」
イービルが強引に唯夏ちゃんの意思を封じ、殺伐とした様子で私にガンを飛ばす。
「唯夏ちゃんを、自由にしてあげてよ!」
「何を言ってるの?あたしはイービルであると同時に、唯夏でもあるのよ?」
「違う!!」
あんたが唯夏ちゃんなわけない。
唯夏ちゃんは、あんたみたいな最低な奴じゃない。
「あんたは、唯夏ちゃんの身体を利用してるだけの、イービルの意識に過ぎない」
唯夏ちゃんが、私に助けを求めた。
それがどういうことか、イービルには理解できないでしょうね。
「同じ魂を持つ者を苦しめるなんて、ひどいよ!」
自分の現世をも傷つけて、皆に迷惑をかけて。
それでも、気づかないの?
あっちの世界でもこっちの世界でも、犯している罪に。