オーロラの歌
涙を拭った私の脳裏に、アンジェラスの穏やかな笑みが過ぎった。
「あなたの本性を知っても、愛していた人がいたのに」
「……え?」
ポツリと呟いた声に、イービルが反応した。
イービルがまだ、歌の意味に気づいていないのならば。
私が、ちゃんと教えてあげよう。
アンジェラスの想いを。
意味を知ったらきっと、イービルの心の奥深くにまでいやしの歌が響くはずだ。
「アンジェラス……あなたの妹は、ずっとあなたと仲直りしたがってた」
「そ、そんなの嘘よ」
「本当だよ!」
イービルは珍しく、動揺していた。
「オーロラに『誰も憎まないで』と伝えるくらい、あなたを愛していたの!」
最期まで、アンジェラスがイービルを恨むことはなかった。
イービルが過ちを反省して、更生する日を待っていた。
「でたらめ言わないで」
「アンジェラスの気持ちを無視するなっ!!」
耳を塞ごうとしたイービルに、私は声を張り上げた。
イービルのみならず、怜司くんも江藤先輩も利一くんも驚いていた。