オーロラの歌
「魔法を使うな」
利一くんがイービルの隣に移動し、毒牙を近づけてイービルを脅した。
「抵抗しても無駄だぜ?」
「黙って、琉美の歌を聴いてろ」
「琉美先輩を傷つけたら、容赦しない」
私のために、未来のために。
仲間が作ってくれた好機を、無駄にはしない。
視界にイービルが映ったら、大きく息を吸った。
「♪~~ごめんねって泣いてる 真っ赤にして不器用に 素直じゃないよね君は~~♪」
今、イービルに贈ろう。
変わることのない、幸せのかたちを。
大丈夫。
イービルは、独りじゃないよ。
「……る、琉美先輩、すごいです」
「琉美ちゃんの周りが、光で埋め尽くされてる」
「これが、いやしの歌の本来の力……?」
皆が歌に聴き惚れ、能力の圧倒的な効力に見惚れていた。